ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

『炎 アンサンディ』★★★★★ 

今夜も帰宅が0時近かったのでさっと・・・
 シアタートラムへ。 
脚本:ワジディ・ムワワド(Wajdi Mouawad) 演出:上村聡史
出演:麻実れい、栗田桃子、小柳友中村彰男那須佐代子、中嶋しゅう岡本健一
   
 帰りのtweet載せておく〜。
評判通りとても素晴らしかった。オイディプス王か日の浦姫か、な真実。土の上に椅子くらいしかないシンプルな美術なのに映画のような光景が次々と目に浮かんできた。字の読み書き、赤鼻などの伏線が血の赤へ繋がった。
中嶋しゅうさんが砂漠のオアシス。
 
岡本健一くんの、ある意味ライブパフォーマンス(最前列だったこともあり、生声が聞こえて)はステキだった。
さすがだわ。
撃たれた。写真撮られた。と言っていた方の興奮がさっきわかった( ̄ー ̄)
 
休憩から戻って二幕、舞台上にある布に包まれた二つ(二人というより二つ)の死体がけっこう長い時間あって、胸が苦しかった。たった二体なのに。以前『焼け焦げるたましい』というタイトルで上演されたという、それが胸にぎゅーっと迫ってくる。

あらすじ(*)も劇評も読まず、何も予習せずに観てよかった。うん、緻密な構成。残酷だけど愛に満ちていた。
 
*フライヤーのデザインに全く惹かれなくてストーリーも読まなかったけれど、中嶋しゅうさんはテッパン。岡本くん麻実さん那須さんなど全員観たいキャストだもの、観ずに終われないわ!ということでチケット購入しました。よくあることです。
 
(15日追記)
2014/10/7付 日経新聞の劇評(高橋宏幸さん)http://www.nikkei.com/article/DGXDZO78078560X01C14A0BE0P01/
『双子の姉弟に母が残した遺言は、今まで知らなかった父と兄を探すよう書かれていた。モントリオールから中近東のレバノンあたりへ、父と兄を探すため母の祖国を旅する二人。生まれてすぐに連れ去られた兄。その子を探す途中、母は内戦に巻きこまれる。報復の連鎖は、母に一方の勢力の指導者を殺させた。』『「歌う女」と呼ばれ、歴史に翻弄される母を麻実れいが好演する。愛憎を同時に演じ、最後には感情を超越した女神のようだ。脇を固める中嶋しゅう中村彰男もいい。文学座の新鋭、上村聡史の演出は最低限の舞台美術を置くシンプルなもので、暗い色調で重いテーマを響かせた。』『兄もまた母を探し、内戦に巻き込まれる数奇な運命を生きた。物語は、上質のミステリーのように、謎が解かれて進む。息子が母と通じるギリシャ悲劇「オイディプス王」のように。』『この作品は「灼熱の魂」という題で映画化もされたが、舞台の方が、はるかに豊潤で硬質の言葉を生み出している(藤井慎太郎訳)。』『内戦を背景に引き裂かれた家族の関係、そこに絡め取られ、あらゆるものを憎みながら、それでも赦すこと。中東の現実を思わせる悲劇から、こんなにも、いとおしい物語が生まれている。15日まで、シアタートラム。』
2014/10/2付 朝日新聞の劇評(大笹吉雄さん) 
『本年度の優秀舞台のひとつとして回顧されるだろう。演出をはじめ、乾ききった灰色の大地を連想させる美術(長田佳代子)、さまざまな陰影を現出する照明(沢田祐二)、音響(加藤温)、衣装(半田悦子)とスタッフが良い仕事をしていて、俳優も揃った。』『作者は中東レバノンの生まれ、フランス語文化圏のカナダのケベック州に移り、フランス語で戯曲を書いている。舞台は作者の祖国レバノンとカナダのモントリオールにまたがり、モチーフの一部はレバノン内戦に拠っている。物語は過去と現在を往復し、麻実れいが10代から60代までのナワルを演じるように、時間的に半世紀におよぶ。古代ギリシャ式の悲劇である。』
 
 
そういえば、岡本くんと小柳友くんは『非常の人 何ぞ非常に 〜奇譚 平賀源内と杉田玄白〜』で一緒だったね。あれもよかったけれど、岡本くんは今回(とくにニハッド)みたいな色気のある役のほうがステキ。 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20130709/1373384266