「『正解』が分からなかった」…W杯出場を切望された“オシムジャパン”の裏話
「編集部より 「“人もボールも動くサッカー”で世界を目指したイビチャ・オシム氏はどのような指導方法で日本代表を導いたのか? 当時の代表メンバーに語ってもらいました」」
「オシムさんの場合、『正解』というのが分からなかったです。『試合中に決まっていることなんてないだろ』みたいな。相手にも戦術やポジショニングはあるけど、その通り仕掛けてくるとは限らない。だから、『お前たち、試合の中で考えろ』と。色々な状況に対応できるようになるために、変わったトレーニングも取り入れたんだと思います」
“人もボールも動くサッカー”とは、“考え、走りながらプレーをすること”だと鈴木氏は話す。試合中目まぐるしく入れ替わるありとあらゆる状況に対応するために、練習から多くのことを考えなければならなかった。鈴木氏が言う「変わったトレーニング」の1つが、ポジションごとに違う色のビブスを使ったボール回しだ。3色以上のビブスで選手を識別し、加えて様々な状況を想定してパスをつなぐ。一風変わったトレーニングは大きな話題となった。中には慣れないプレーに戸惑う選手もいたが、全ては“考える”ことを身に付けるためだったいう。
「『こう攻めてくるかもよ。でも、攻めてこないかもね』って言うこともあって、どっちだよ!?って思うこともありました(笑)。今思えば、『色々なことを想定しなさい』って言われていたんでしょうね。だから、“考えながら動くサッカー”ということです」