道産子男闘呼倶楽部『きのう下田のハーバーライトで』★★★★★

下北沢OFF・OFFシアターにて道産子男闘呼倶楽部の二人芝居『きのう下田のハーバーライトで』観劇。自由席だったので３列目で。

https://dosanko-otoko.com/
モダンスイマーズの蓬莱作品&津村さん（犬飼さんはお初だったので）に間違いなしは間違いなく、名作でした。
泣きすぎて、帰り際、優しい顔した西條さんを見るなり「もうダメ」と涙が…歩きながらも涙腺が緩む始末。

似たような経験があるわけではないのに、逆転し合う二人の表情の違いや直接は言葉にしない心の中の言葉が刺さって、やっぱり蓬莱さん天才。
友だちとの出会いって消しゴムを拾ったとかそんな感じだし。

コロナ禍で試食販売の仕事と居場所がなくなり路上生活者となり、2020年の冬にバス停で殴られ死亡した女性を思い、あの頃仕事を失った人たちのことを思う時間にもなった。子どもが生まれたり家のローンがあったであろう人たちもいただろうと。
千秋楽しか行ける日がなく、見逃さずに観られてよかった。

f:id:Magnoliarida:20231029181744j:image

【作・演出】蓬莱竜太
【出演】犬飼淳治　津村知与支
【スタッフ】美術：中根聡子　照明：沖野隆一　音響：今西工　舞台監督：田渕正博

ストーリー「仕事で下田のモーテルに宿泊している二人の男。二人は人生を折り返し、50才を前にしている。かつて実演販売での妙技でテレビによく出演していた男と、その付き人兼マネージャーの男であった。付き合いは大学時代から及ぶ。今ではテレビに出ていたその男を覚えている人はいない。今は全国のスーパーやデパートを周り、何とか生活している。付き人は何故自分の人生がこうなってしまったのかを夜な夜な考える。宿泊はいつも相部屋。酒を飲んでいる相手の顔を見ながら、いびきをかいてる彼の顔を見ながら、大学で彼と出会った時からを振り返り、人生の分岐点、修正すべき点を考えてしまう。

もう30年の付き合いだ。家族より長い。人生の大半は彼との記憶に埋め尽くされている。今から縁を切れるのか。裏切ることになるのか。相手はショックを受けるだろう。だけどこのままだと自分の人生は失敗だとはっきりと言える。そしてきっと、もう遅い。
だから今日も過去に思いを馳せ、自分の人生、二人の人生を振り返ってしまう。何でもない小さな夜も、越えるためには少し力が必要なのだ。引き返せない、やり直せない人生をどう抗うのか、どう受け入れていくのか。朝を笑顔で迎えるために毎夜繰り返される二人の小さな物語。」

📘集英社の月刊文芸誌「すばる」10月号に蓬莱竜太「きのう下田のハーバーライトで」の戯曲載っています。https://subaru.shueisha.co.jp/backnumber/2023_10/