ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

オセロー横田栄司さんインタビュー

📌オセローのタイトルロール、横ちんさんこと横田栄司さんのインタビュー記事(聞き手・増田愛子さん)

約2年ぶりに舞台復帰の横田栄司 シェークスピアはハマると「沼」:朝日新聞デジタル文学座「オセロー」主演の横田さんにインタビュー。数々のシェークスピアの舞台で接した素敵な先輩たちの雄姿、「鎌倉殿の13人」で結ばれた絆、そして「オデッサ」のサプライズまで……。たっぷり伺いました。」

一部抜粋

蜷川幸雄さん演出の舞台をはじめ、多くのシェークスピア作品に出演されてきましたが、主役は初めてだそうですね。
「まず、出ているシーンの多さと、せりふの量。物理的に打ちのめされるんです。今、『ハムレット』に主演している柿澤勇人君もそう言っていました、LINEで。『これ、どうやって覚えるんですか』と。あの歴戦の勇者が。『諦めるしかないね』と返事をしました。つまり、覚えなきゃ仕方がないことを受け入れるというか……。まず、そこから始まるんですよ。これ、蜷川さんの言葉ですよ。すごい境地でしょ

「平さんが『リア王』に主演された時、演出の蜷川さんに『平さんのリア王を見ていたいので、出して下さい』と懇願しました。『本当かよ?』という蜷川さんに『本当です!』と。」
「そういう先輩たちの雄姿を僕は見てきたので、それがやはり財産になっていると思いますし、生かせなかったらウソだなと思いますし。彼らの境地に少しでも近づきたいという思いは、すごくありますね」
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の和田義盛役〜多くの視聴者が「義盛ロス」になったはずです。

「一つの役を14カ月にわたり演じるというのは、これは本当に得がたい体験でした。僕だけの感覚ではないと思うんですけれど、みんなが役の人物とだんだん、同化してくるんですね。『演技している?』みたいな。リアルな感情とお芝居の感情がないまぜになってきて、素晴らしい気持ちになりました。撮影現場から人が減っていく度に、我々も同じように『ロス』を感じていました」

―劇団公演への出演としても久しぶりですね。
「たった1冊の本ですけれど、ブラックホールだということは分かりきっているので、ひとかどの勇気と覚悟がないといけません。そういう覚悟で今、あたっているところです」
「三谷さんの脚本の話にも通じるところがあるかもしれませんが、どんなに小さな役でも卑下したり、投げやりになったりせず、ぬかりなく演じる。そこは文学座の強みだと思うんです。ベテランから若手までね。ただ、オセローとイアーゴーの物語ということではなく、戦場での若者たちの悲哀やけんか、飲み会の様子、そういう細部まで、僕たちはしっかり作る。きっと、群像劇として楽しめると思います」(聞き手・増田愛子さん)

📌演劇モンスター・横田栄司が「オセロー」で2年ぶりのカムバック、舞台復帰でかみ締めた思い (テキスト:高橋彩子 さん)

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イアーゴーは浅野雅博さん、デズデモーナはsaraさんですね。

浅野くんは同期で同い年なのでうれしくて。20年ぶりぐらいに電話して「こんなに頼もしいこと、ないよ」と伝えました。僕は大劇場系、彼は中劇場や小劇場の繊細なお芝居をメインに頑張っていて、交錯する機会は決して多くなかったんです。

僕が演じるオセローは、浅野が演じるイアーゴーにだまされる役。台本に書いてあるから、彼がどんな演技であっても一応はだまされるけど「ちゃんとだませよ」と、同期愛を込めて思っています(笑)。でも、そんな心配ないくらい、浅野くんは年を重ね、いい意味で俳優として屈折も屈辱も味わっていると思うので、彼の手のひらの上でコロコロとだまされたいですね。

同期のおふたりのオセローとイアーゴー、楽しみだーー!

f:id:Magnoliarida:20240606220227j:imagePhoto: Kisa Toyoshima さん

「間違いなく傷ついているでしょうね。この間、稽古場で「そこまで言うか問題」が話題に上ったところです。オセローだけでなく、デスデモーナはデスデモーナでキャシオーをかばい過ぎだし、みんなが言い過ぎている。

スマートフォンもテレビもゲームもなく、戦争に明け暮れて帰ってきて心を癒やしてくれるのは奥さんや子どもだけだったりする時代だからこそ、「そこまで言う」し、言われたからには「ここまで感じる」、つまり悲しんだり怒ったりしてしまう。現代の僕たちにはうかがい知ることができないぐらい激しい感情が動いていたんでしょう。

そうした感情の分量と比例して、せりふが長くなっている。言い方を変えれば、気持ちを持続させながら、あれだけの言葉をしゃべらなきゃいけないんです。これが、我々日本人がシェイクスピアをやる時に最も苦労すること。日本人は命がけで当たらないと立ち打ちできないのだと、これまで先輩たちの名演を見てたたき込まれています。蜷川さんはよく、「たこわさなんか食べてないで、ステーキを食え!」と言っていましたから(笑)。

やっぱり文学座でオセローを演じるというのは、歴史の一部になること。僕がきちんと担えるか分からないけれど、そのぐらい大変なことに向き合うんだという自覚は持って、臨んでいるところです。

蜷川さんのお話が多いのも嬉しい。横ちんさんは蜷川さんの舞台で観ることが多かったから〜。