今日はクシシュトフ・キェシロフスキ監督のDEKALOGデカローグ 第9話『ある孤独に関する物語』のDVDを見た。 5、6のように映画で観ても面白そうと思ったらリーフレットに「この作品には「電話に関する短いフィルム」というタイトルを付けることが出来たかもしれない」と監督のコメントが書いてあった。
先に読んだ小説より好き。残酷な夢から始まるのはちょっときつかったし、けっこうストレートな描写がある…翻訳の高橋博さんの文章は詩的で好きだけど。テレビシリーズ版はカメラワークや俳優たちの演技が良いので凄くおもしろかった。
クラクフの友人の医師に性的不能を宣告された外科医のロメク。そのことを若い妻ハンカに報告。
浮気を疑い浮気調査の探偵ばりに「盗聴」を繰り返すので「デカローグ6」よりヒッチコック味があるサスペンス。ロメクが妻を覗いているときのカメラの揺れも動揺するロメクの視線と重なります。
天使は2回自転車で自転車のロメクとすれ違う。クラクフの帰り事故を起こしそうになったときと・・最後に。
もちろん牛乳も出てきました。
<あなたは他人の妻をとってはならない> 撮影:ピョートル・ソボチンスキ
STORY「性的不能と宣告された夫は妻に事実を告げる。夫を励ます妻だが実は妻には既に若い恋人がいた。40歳の外科医ロメク(初台版はロマン)は、同業の友人から性的不能になったと診断され、若い妻であるハンカと別れるべきではないかとほのめかされる。夫婦は診断結果を話し合い、お互いに別れる気はないことを確認するが、実はハンカは若い大学生マリウシュと浮気をしていた......。」(新国立劇場の「デカローグ」より)
若い男からの電話。その相手のことが気になりはじめるロメクは盗聴を始める。車のダッシュボードからマリウシュという学生のノートを見つける。妻のバッグを漁る。男の勘かしら。そこにメモされていた電話番号はビンゴで・・
すぐに開いちゃうダッシュボードにデカローグ4のゴミ箱思い出したよー。
ロメクはハンカが通うママの家の合鍵まで作り、ハンカが前々からそこで学生マリウシュと浮気していたことを知る。浮気の現場を目撃したのはハンカのママの家だけど、最近だと「ドライブマイカー」とか既婚なのになぜ浮気相手を家に呼ぶのか私には意味不明です。
妻を抱けない負い目から妄想が悪い方へどんどん広がる。 マリウシュという若者の若さへの嫉妬がロメクをエスカレートさせたのだろう。クローゼットに隠れて妻の浮気現場を目撃した夫ロメク。妻がその夫を見つけ、なじる(相手を信用していないから始まる妄想だけど、ほんとに浮気していた妻。浮気を肯定する妻😨)。。
ハンカは学生に別れを告げるもそこで終わらないデカローグ9。養子を迎えることにし妻を信じやり直す決心をした矢先、一人でスキーに出かけたハンカを学生マリウシュが追いかけたことを知る。もう終わらせたはずなのにと焦る妻。そのすれ違いがとんでもない行為に繋がる・・絶望したロメクは工事中の道路を全速力で駆け上がり高いところから転落。その前に自転車の天使と遭遇…
電話、電話、電話のデカローグ。<あなたは他人の妻をとってはならない>
外科医のロメクと話す難しい手術を悩む女の子(ママは歌手にさせたい。タバコ吸う🚬)のサイドストーリーも興味深かった。手術は成功、きっといつかヴァン・デン・ブーデンマイヤーのオペラを歌うのでしょう。
その子が得意としている🎵ヴァン・デン・ブーデンマイヤー Van den Budenmayer という音楽家の名前が出てくるので調べたら・・キェシロフスキ監督が考えた架空の作曲家で『ふたりのベロニカ』のために作曲されたらしい。舞台用は海太郎さんが作るのかな〜🎵