ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

さいたまネクスト・シアター『ザ・ファクトリー2』*まとめ 

ああ、スイマーよ。今夜もスイマーが私につきまとっています。なので少しずつ・・ほんとに少しずつ
 蜷川さんのご挨拶文より
1☆テネシー・ウィリアムズ『話してくれ、雨のように……』 翻訳:鳴海四郎 演出:藤田俊太郎
 出演:男/堀 源起、女/土井睦月子 上演場所:小ホールの舞台裏にある作業場
 あらすじ:ニューヨーク市マンハッタン区のミッドタウン。下着姿の男がベッドで目を覚ますと、部屋の窓辺には女が椅子に腰掛けていた。ただならぬ関係とおぼしき若い男と女。外では雨が降ったり、やんだりを繰り返している。男は、部屋を留守にして都会をさまよい歩いた自らの顛末を女に語ると、今度は女に話を促す。「話してくれ、雨のように――」。
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演出も二人もすごくよかった。千秋楽、「こっちへいらっしゃい」最後のセリフに土井睦月子ちゃんの果てしない母性を感じました。同じセリフなのに初日と感じ方が違ったと俊太郎くんファンの方に言ったら「そのセリフまでの間を長くした」とのこと。ああ、それか・・余韻、 雨のようなあたたかな余韻だったのかな。
蜷川さんの舞台に行くといつもどこかにいる俊太郎くん。すごくかっこよくていつもソフトな笑顔で謙虚で・・。初めてお話してサインをいただきました。これからも応援しています。また演出作品見せてください。

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2☆テネシー・ウィリアムズ『財産没収』翻訳:倉橋 健 演出:井上尊晶
 出演:ウィリー(女の子)/白川美波、トム(男の子)/内田健司 上演場所:さい芸1階のガレリア(通路)
 あらすじ:ミシシッピの小さな町の外れにある鉄道の土手。冬の朝。どこかで拾ってきたような晴れ着姿の女の子ウィリーが線路の上を歩いている。その姿をうっとりと見ていたトム。彼女のことが知りたくて話しかけたトムは、ウィリーから家族の離散と家の差し押さえ、そして病で亡くなった姉アルヴァの話を聞くことに――。
        ☆ 
戯曲を読んだときに「さい芸だったらガレリアしかない」と思った場所での上演でした。真っ白な空、レール。そのレールは何処へも続いていないように静か。あどけない顔をしたウィリー(白川美波)が危なっかしくて、儚くて、泣きぼくろから涙が出ているようで、彼女の行く先に幸せが見えない・・切なさで胸が痛みました。トム(内田健司)は過去を回想し空想するウィリーに感情を置いてけぼりにされる思春期の男の子。よかったです。
井上尊晶さんは蜷川さんのNo.2といったところでしょうか。ずーっと前からいらっしゃいます。先月上演されたゴールド・シアターの『ザ・ファクトリー1/『白鳥の歌』『楽屋』』の演出がとても素晴らしく楽しかったのは記憶に新しいです!

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3☆テネシー・ウィリアムズ『火刑』翻訳:内村直也・木村 優 演出:蜷川幸雄
 出演:デュヴネ夫人/周本絵梨香、エルワ/小久保寿人 上演場所:小ホール隅の昇降口階段の踊り場
 あらすじ:舞台はニューオーリンズのヴュウ・カレエ。玄関先の揺り椅子に座っているデュヴネ夫人のところへ、息子のエルワがやって来る。病弱な息子を慮って私生活に執拗な注意をする母に、彼はいらだっていた。ここ最近の息子の異変に気づいていたデュヴネ夫人は、彼に原因を問いただすと、エルワは勤務先の郵便局で起きた出来事について話し始めた。
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母デュヴネ夫人、老けメイクをしているので最後までお顔がわからない周本絵梨香さん、すごかった・・素晴らしかったです。小久保寿人くんのその時代その場所に生きている若者の、抑圧された性欲を押さえられず精神を壊していくエルワもとてもよかったです。
階段を使った演出がおもしろい。迫真の演技をしているのですべって転ばないか心配でしたが(笑)

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4☆テネシー・ウィリアムズロング・グッドバイ』 翻訳:倉橋 健 演出/蜷川幸雄 上演場所:小ホールの舞台裏のボイラー室
 出演:ジョー/川口 覚、マイラ/長内映里香、母/茂手木桜子、シルヴァ/松田慎也、ビル/隼太、運送屋/平山 遼、何 嘉晃、緒川 尊、續木淳平
 あらすじ:アメリカ中西部の大都市の真ん中にあるうらぶれた共同住宅。売れない小説家のジョーは、引きこもった生活を続けていたが、この日、幼い頃から暮らしてきたアパートを引き払う。部屋を訪ねてきた友人のシルヴァと話していると、運送屋がやってきて、荷物を運び出し始めた。自分が生まれ、妹のマイラが生まれ、そして母が亡くなったベッドが運び出され、思い出の部屋が徐々に片付いていく中、ジョーの前にはかつて一緒に暮らしていた妹と母の姿が現れては消える。
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ボイラー室の質感が埃っぽい共同アパートという設定の物語にぴったり。運送屋たち(平山 遼、何 嘉晃、緒川 尊、續木淳平)がガヤガヤ出入りすることで回想へと切り替わる。
 とにかく私は覚くんが誰かを演じるのを観るのが好きで好きで・・(笑)。今回は現在と過去(自己)を交錯させ進んでゆく物語の主人公小説家のジョーの葛藤する心象風景を見事に演じきっていました。外野は騒がしく・・ジョーだけが孤独。苛立ち、うるさくても消さないラジオ。自分に苛立つジョー、シルヴァとの会話、マイラとの会話、母との会話、ビルとの会話、それらの違いが繊細で細やか。伝わってきます、ぜんぶ。
松田慎也くんは包容力があり懐の大きい友人シルヴァを壮快に演じていました(戯曲では小さい男ですが、大きいことがイタリア人の明るさとシルヴァの優しさを表現していた)。ふたりの呼吸がぴったりで、とくに千秋楽のふたりにものすごいエネルギーを感じました。母(茂手木桜子)、妹マイラ(長内映里香)、いけ好かないボーイフレンドを演じたビル(隼太)もよかった。
 
http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20121122/1353601709
http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20121124/1353775464
http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20121125/1353861668