ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

新聞 

 浦和の友だちから啓太のインタビューが載っている埼玉新聞が届いていました。嬉しい。ありがとう😍
 
 日経夕刊に「ライン(国境)の向こう」劇評(内田洋一さん)『不穏な展開に胸がざわつく。作者の筆に抑制がきき、劇画的な荒唐無稽に踏み込まないのが救い。戦争の論理を前に人の心を失うまいとする、普通の人々の言葉に劇は力点をおくのだ。命を守ろうとする女のきっぱりとした強さ。客演の戸田恵子のセリフが明晰で鋭い。』『日澤雄介(劇団主宰、演出)と古川健(劇作)のコンビは今年、朝鮮戦争の現代氏と日本人とが向き合う「追憶のアリラン」という傑作をつくった。分断の悲劇は日本でも起こり得た。日本人一般の淡い歴史認識を撃つ試みといえそうだ。』『国境線がどう敷かれようと、目の前の「小さな暮らし」は変わらない。そこに希望の証しを見る舞台はいわばメルヘンだ。階段だけの装置で人間群像をクローズアップする演出、強いセリフで貫かれる台本はこの劇団の魅力、これに奥行きと陰影を増したい』
 
日経新聞の「演劇回顧2015 言葉本来の確かさを取り戻す闘い」(web)(編集委員 内田洋一さん)http://www.nikkei.com/article/DGXMZO95196600W5A211C1000000/
『80歳になった蜷川幸雄がしきりと「セリフが気になってしょうがない」ともらしたのは象徴的だった。』『世界の矛盾と対決するセリフ。あるいは激しい憎悪の先に和解を模索するセリフ。それらに真の響きを宿らせねば……。車いすと酸素ボンベが欠かせない蜷川の稽古場は2015年の演劇界を象徴する「言葉の戦場」だった。』
『年間の舞台成果を考えるとき、やはり時代と向き合う言葉の格闘をよりどころとしたい。まず挙げたいのは新鋭劇団チョコレートケーキの「追憶のアリラン」(古川健作、日澤雄介演出)。第2次世界大戦後の北朝鮮人民裁判にかけられる日本人検事と朝鮮人との間で繰り広げられる愛憎のドラマは、忘れてはならない歴史の断面を浮き彫りにした。』 
 
『演出家の中核として存在感を示したのは栗山民也、宮城聡だ。栗山演出の中では手塚治虫の漫画を原作とした神奈川芸術劇場の「アドルフに告ぐ」(木内宏昌台本)が傑出していた。日独の大戦から戦後の中東紛争までを視野に収める歴史劇。楽士を配し、セリフの音感から人間が獣のような存在になっていく恐怖をえぐった。幼なじみが宿命の敵となり、普通の人間が非寛容の怪物と化す。ホロコーストの悲劇を出発点とする演出家の、これも集大成といえる舞台だった。成河(ソンハ)の熱演を改めてたたえよう。』 
 
『手塚漫画の鉱脈は深い。鉄腕アトムの世界をイラク戦争後のテロリズムに重ねたBunkamura制作「プルートゥ PLUTO」(浦沢直樹原作、谷賢一台本)でみせたシェルカウイ演出も強靱(きょうじん)にして斬新。未完成の舞台ながら、光の点滅で爆撃の恐怖を示し、ロボットの哀感を奇抜な装置で示す演出は見事。これからの舞台表現を示唆するだけの才気にあふれていた。飛行する森山未来のダンサーとしての魅力も記しておこう。名作漫画には舞台化できる秀作が数多いだけに、構成力にたけた脚本のプロを育てたい。』
『アクチュアルな舞台を創作する新鋭たちの列に加えたいのは木ノ下裕一、藤田貴大、長田育恵だ。木ノ下は歌舞伎の現代化を構成台本で実験する異能の才人。東京芸術劇場で通し上演した「三人吉三」(杉原邦生演出)で黙阿弥の原作を彫り上げ、人間の闇のドラマに仕上げた。』
『次代をになう演出家として森新太郎(オフィス・コットーネ「人民の敵」など)、上村聡史(風姿花伝プロデュース「悲しみを聴く石」など)、小川絵梨子(シス・カンパニー「RED」など)の名を挙げておこう。彼らもまた大きな劇場の空間構成や劇作家と共同する創作劇で地力を発揮できるか、正念場を迎えている。未来の演劇界のため、若い世代に刺激となる場を与えたい。』
 
『創作劇のプロデュース公演の劣化が著しい。稽古前に人気タレントの名前だけで切符を売り、フタを開けてみればトンデモナイ駄作。そんな芝居がますます増えているから、観客は要注意である。寄せ集めの配役によるプロデュース公演の惨状は目をおおうばかりだった。効率優先の芝居作りは粗製乱造を生み、結局は観客を失わせる。そうした嘆かわしい趨勢が一部公共劇場にまで及んでいるかにみえる。これは、どうしたことか。』
 
『一方で、既成劇団はチーム力をしぶとく発揮した。ことに文学座はめざましい1年をおくった。鵜山仁演出、平淑恵主演で財産演目「女の一生」(森本薫作)に歴史劇としての魅力を加え、急逝した高瀬久男の演出遺作となった「明治の柩(ひつぎ)」(宮本研作)で見事なアンサンブルを築いた。マキノノゾミが書き下ろした野口英世の評伝劇「再びこの地を踏まず」(西川信廣演出)も中堅の今井朋彦らが好舞台に練り上げた。実験の場となるアトリエ公演も健在。メルヴィルの「白鯨」(セバスチャン・アーメスト脚本、12月22日まで上演中)で、高橋正徳が何もない空間に海の気配を満たす機知に富む演出をした。』
『戦争を知る世代の俳優、加藤武熊倉一雄が亡くなった。歌舞伎の三津五郎文学座の演出家、高瀬久男の死は大きな喪失感をもたらした。劇評家の扇田昭彦、村井健も。劇評家の後継者難が演劇界あげての課題となってきた。言葉がなければ、舞台の感動は後世に残らないからだ。』