ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

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蜷川幸雄さんの「戦ってこいよ」演劇人生に光 演出家・藤田俊太郎(寄稿)

産経ニュース http://www.sankei.com/entertainments/news/160517/ent1605170001-n1.html
「“世界のNINAGAWA”の前で、生まれて初めて演技。蜷川さんには後から「あまりにも下手で、びっくりしたから取ったんだ。変な芸大生だった」と言われました。」「残念ながら僕に俳優としての才能は全くなかった。スタジオに入って1年後、演劇を諦めかけたとき、蜷川さんは「見られるより、見ることが好きなら俺のそばにいればいい」と、新たに演出助手のチャンスを下さった。そこから僕の人生に光が見えるようになりました。」
「どんなに怒られても僕は蜷川さんが好きだった。それは蜷川さんが、無名で貧しい若者に対して、そして演劇に愛情ある若者に対し、常にフェアに接し、愛情を注いでくださったからです。」「僕は、せめてできることは何でもやろうと、稽古に皆勤し、買い物や資料のコピーなどに励んだ。「藤田には勤勉さと丁寧さという才能がある」と言っていただき、蜷川さんの素晴らしい作品が作られる稽古場にすべてをささげようと誓ったのです。」「それから10年、演出助手を続けた後、外部からミュージカル「The Beautiful Game」(26年)の演出依頼をいただきました。蜷川さんに相談すると、「戦ってこいよ。だめだったら俺の稽古場に戻ったらいいんだから」と一言、背中を押してくださいました。」http://www.sankei.com/entertainments/news/160517/ent1605170001-n2.html
(「The Beautiful Game」の)「初日に観劇してくれ、「芝居、良かったよ」と初めてお褒めの言葉をいただいた。さらに、「もっと他者と向き合え。良い瞬間や自己は疑って、戦え」とも。その言葉は、蜷川さんが繰り返し、稽古場で口にしてきた言葉でした。初めてその激励が自分に向けられたことがうれしくて、僕は電話を切った後、1人で泣きました。」「絶版の画集や憧れの写真集など、貴重な本を前に興奮する僕に、蜷川さんは本に埋もれながら「なかなか捨てられないから、もらってくれないか」とおっしゃった。ためらうと、「だったら貸すよ、これで気が楽だろう」と、後輩に惜しみなく、その知識も分けてくださったのです。」http://www.sankei.com/entertainments/news/160517/ent1605170001-n3.html
 (その初日、蜷川さんが私の対面にいらして、長く長く拍手をされていたカーテンコールを覚えています)
「そのとき、“お借りした”本の一節を引用して、筆をおこうと思います。『アルチュール・ランボオ10代の時の手紙』です。」
〈彼が未知のものに到達して、気も狂わんばかりになり、ついに自分の見たヴィジョンの見分けすらつかなくなってしまったとしても、まさに彼は、それらのヴィジョンを見たことになるのです。前代未聞の、名づけようもない事象を跳躍してゆくその運動の過程で、くたばったところが何でしょう〉
「僕にとって、蜷川さんは手の届かない美しい永遠のランボオです。僕は(彼に憧れる詩人)ヴェルレーヌ。輝き続ける永遠を追い求めて、明日からも大好きな演劇をつくっていきます。 本当にありがとうございました。」http://www.sankei.com/entertainments/news/160517/ent1605170001-n4.html