こまばアゴラ劇場へ。
Ten Commandments (テン・コマンドメンツ)http://minamoza.com
「とても「私的/詩的」な作品。かと言って、社会性を手放したわけでもない。」と谷岡健彦さんがTweetされていた意味がわかった。そう思って見ると、面白い演出、面白い作品でした。
「3.11以降、言葉を失った女性が手紙に思いを綴るさまを描く、独話中心の芝居」届くことのない手紙はまるで日記のよう。書くことにより届けたい言葉を探しているような。アフタートークで谷岡さんがおっしゃっていたのと同じで「原爆は概念」というセリフが印象的。
言葉が歴史を作る。
原子力のことよりも、言葉を発しなくなった主人公が手紙を読むたびに、劇作家の主人公(占部房子)=瀬戸山美咲さんという見方でしか見れなかったけれど。
*往復書簡ではなく一方的な手紙を読むという演出が、届かなかった アインシュタイン=シラードの手紙(Einstein-Szilard letter)から来ているのね。
作・演出:瀬戸山美咲
出演:占部房子 山森大輔(文学座) 浅倉洋介 本折最強さとし 菊池佳南(青年団) 石田迪子
舞台美術:原田愛 照明:上川真由美 音響:泉田雄太 衣装:高橋毅 ドラマターグ:中田顕史郎 演出助手:石塚貴恵 舞台監督:鳥養友美
出演者が瀬戸山美咲さんからの手紙〜それに書かれたレオ・シラード*の「十戒」を読むことから始まる演出。
*1939年シラードはアインシュタインを通じたルーズベルト大統領への進言によって原子爆弾開発のきっかけを作ったが、最後まで日本への原爆投下に反対した。1945年3月にアインシュタインはシラードの求めに再び応じてルーズベルト大統領への2度目の手紙として短い紹介状を書いている。 シラードはこれに付随するものとして日本に対する原爆使用の懸念と、それによる戦後の核開発競争への懸念が表明された覚え書きを執筆したが、ルーズベルトの急死によりそれが読まれることはなかった。
帰りにTwitterでいつもお世話になっていた谷岡健彦さんにご挨拶。Tottenham Hotspur のサポーターで演劇好きの方だと思ってフォローしていて、昨年かな・・新聞に劇評も描かれている東京工業大学教授だと知りました。瀬戸山美咲さんの塾の先生だったそうで、ミナモザ旗揚げの時から関わりがあったようで、毎公演アフタートークのゲストだったそうです。
「現代イギリス演劇断章」というご本をいただきました。サインしていただいたら、大学で思いついたという俳句も書いてくださいました!←私が都々逸をやっているから。
瀬戸山美咲さん演出の舞台は何本も観ていましたが、ミナモザは『彼らの敵』(2013年7月)だけだったかも。