残業を同僚に任せて(来月忙しいからいいよと…ありがとう)早退してKAAT神奈川芸術劇場へ。
中スタジオにて『ライカムで待っとく』観劇。11月27日と29日が中止。初日が延期になり今日が初日(マチネ)となった公演。初日と千秋楽を観る予定だったので千秋楽しか観られないなんてイャアーーとなり、急遽チケット神奈川KAme🐢で追加しました。センターブロックのB列だけポツッと残っていたから… でも舞台がフラットでABの2列傾斜がなかったので見辛かったけれど仕方ないですね😭。
今まで観た沖縄を扱った舞台とは全然違う切り口。とにかく凄かったから観てほしいけれど、感想をどう書いたらいいのか言葉が出てこない。史実に基づいていることもあり物語の中の彼らの言葉がいくつも強く刺さってきて巻き込まれて酸欠に。
史実もそうだけど、今も基地の存在が大きくそこにある沖縄、この力強さは沖縄在住の劇作家兼島拓也さんが一年かけて書き下ろし、沖縄に出自を持つ田中麻衣子さんが演出を手掛けたということも大きいと思う。沖縄出身の俳優もいて、演劇の力で物語に飲み込まれるのが東京出身の亀ちゃん演じる雑誌記者の浅野悠一郎と私たちヤマトンチュー。
1964年にアメリカ支配下の沖縄で行われた彼らの事件の陪審裁判の場面。英語で質問され日本語で答えるも伝わらないので英語にして答えると言葉が正しく伝わらない。もう何も喋らないで…と祈るような気持ちになった私です。
Twitterで兼島拓也さん(サッカーがお好きな😊)に「長塚圭史さんが当日パンフに書いていましたが、心臓掴まれるような作品でした。口の中にザラザラの砂が残るような…。」と感想を言うと「書いた僕自身でさえ、口の中の砂を吐き出しても吐き出してもザラザラが消えないというような感覚を、上演を見て覚えました。」と。そうなんです。こんな感覚、今までなかった。
沖縄本土復帰50周年。「兼島さんは、浅野を筆頭とするやまとんちゅ(内地の人)へ問題を投げかけます。これは自分事なのか、それともあっち側の他人事なのか。」
とても重い内容だけど、「物語」の演出はとてもおもしろかった。私の好きな盆!!にぐるぐる飲み込まれてゆく。音楽や照明も素晴らしかった。
沖縄と「あちらとこちら」という意識がなかったこと、今も目に見えないもので分かれていること、「沖縄の物語」が日本の物語ではなかったことに気づかされた、この私のどこかに刺さった小骨は大きい。
あらすじは下に。
作:兼島拓也 演出:田中麻衣子 ←このおふたりにオファーした長塚圭史さん、凄いわ。
出演:亀田佳明 前田一世 南里双六 蔵下穂波 小川ゲン 神田青 魏涼子 あめくみちこ
美術:原田愛 照明:齋藤茂男 音楽:国広和毅 音響:徳久礼子 衣裳:宮本宣子
ヘアメイク:谷口ユリエ 沖縄ことば指導:南里双六 演出助手:相原雪月花 舞台監督:藤田有紀彦
無料パンフレットありがたい!
【あらすじ】
「雑誌記者の浅野は、五八年前の沖縄で起きた米兵殺傷事件について調べることになったのだが、実はその事件の容疑者が自分の妻の祖父・佐久本だったことを知る。
佐久本やその共犯として逮捕された男たちの半生を絡めた記事を書きはじめる浅野だったが、なぜか書いた覚えのない内容に文章が書き換えられていた。そしてついにはその記事の中に、いつのまにか自分自身も飲み込まれていく。
過去と現在が渾然となった不可解な状況のなかで、沖縄が歩んできた歴史や現在の姿を知っていく浅野。記者として何を書くべきなのか少しずつ気づきはじめたとき、突然娘の行方がわからなくなってしまう。
混乱する浅野に、それは「沖縄の物語」として決められたことなのだと佐久本は告げる。その「決まり」に沿った物語を自身が書いていて、また書き続けていくのだと、次第に浅野は自覚していく。」
「ライカム」とは「かつて沖縄本島中部の北中城村比嘉地区に置かれていた琉球米軍司令部(Ryukyu Command Headquarters)の略。現在「ライカム」は地名として残っている。司令部があった近辺の米軍関係者専用のゴルフ場の跡地には、2015年「イオンモール沖縄ライカム」がオープン。地元民のみならず県外からの観光客も多く訪れる場所になっている。」
1964年、そのゴルフ場でゴルフをすることを拒否されたウチナーンチュ。
《登場人物》(演劇キックさんhttps://twitter.com/enkick/status/1598458039044116483?s=46&t=gME7Bg-5C4SIzwDAAu3JLQ)
浅野悠一郎 …… 亀田佳明
藤井秀太 …… 前田一世
浅野知華 ……魏涼子
伊礼ちえ ……蔵下穂波
運転手 ………南里双六
金城(きんじょう) …………あめくみちこ
佐久本 寛二(さくもと かんじ) ……南里双六
嘉数 重盛(かかず しげもり) ……神田青
平 豊久(たいら とよひさ) ………小川ゲン
佐久本 雄信(さくもと ゆうしん)…… 前田一世
大城 多江子(おおしろ たえこ) ……あめくみちこ
栄 麻美子(さかえ まみこ) ……蔵下穂波
金平茂紀さん(ジャーナリスト)×兼島拓也さん(『ライカムで待っとく』作者)特別対談【Vol.1】
金平茂紀(ジャーナリスト)×兼島拓也(『ライカムで待っとく』作者)特別対談 Vol.2 - YouTube
【Vol.3】https
金平茂紀(ジャーナリスト)×兼島拓也(『ライカムで待っとく』作者)特別対談 Vol.3 - YouTube
【Vol.4】https:
金平茂紀(ジャーナリスト)×兼島拓也(『ライカムで待っとく』作者)特別対談 Vol.4 - YouTube
公演情報解禁時の亀ちゃんのコメント「中学の修学旅行は沖縄で、皆、楽しい旅行と大はしゃぎだった。学習の一環として、戦時中のガマでの経験を体験者から聞く時間があった。約200人の生徒達は話を聞いていくうちに静まり返っていった。体験者の言葉と、あの会場の深閑とした空気は忘れられない。以降、沖縄を何度か訪れている。この企画に参加させていただくことで、沖縄にさらに深く関わっていくことになるとおもう。 」
公演情報解禁時の沖縄出身の南里双六さんのコメント(南里さんの「三線」もいいです)「沖縄で起こる信じ難い現実に、内臓が震える思いがします。何故こんなことが起こるのか。声をを上げたところで変わらない現実。踏みつけられ、搾取され、どんどん行き場をなくす沖縄。あるときフと気が付きました。私自身は、沖縄の何を知っているだろうかと。琉球以前から生きた先祖のことや、地獄の沖縄戦と惨憺たる戦後の沖縄のことの、いったい何を知っているのか。あの当時に何が起こったのか、どんな人が生き、どんな思いがあったのかをどれだけ「知ろう」としてきただろうか。全身で「知ろう」としてこなかった自分の態度こそが、今の沖縄の現実を招いたのではないか、と。この作品でまた、沖縄を刮目したい。」
ハイアット リージェンシー✨✨
関内まで歩いてクールダウン(できてない)