ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

俊太郎くん、成河くん『ラビット・ホール』 インタビュー

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ラビット・ホール』 藤田俊太郎+成河インタビュー | ローチケ演劇宣言! 取材・文/田中里津子さん ヘアメイク/河村陽子さん

ラビット・ホール』は、藤田さんご自身が上演を熱望されていた戯曲だったと聞きました。この作品の、どういうところに心惹かれたのでしょうか。
藤田「この戯曲を演出したいと思ったポイントは、まずこの作品が魅力的な会話劇だということでした。これが非常に悲劇的であり、そして喜劇的でもあります。物語としては、家族を失った喪失感からどのように再生していくかということをテーマにしていますが、解釈の仕方が重層的で多層的であると感じました。また2000年代初頭につくられた作品が、この時代の私たちが何を失って何を得たのかということも示唆してくれるのではないかと思えたんです。しかも直接的な答えは出さず、思いだけをきちんと観客に伝えるというところが、深みにもなっていると感じました。是非、その思いや、言葉の向こう側まで到達したいと、演出家としてはずっと思い続けてきたんです。ですから今回、このタイミングで挑戦できることをとても嬉しく思っております。さらにもうひとつつけ加えたいのですが、この作品は既に世界中でさまざまなカンパニーが、素晴らしい上演を重ねてきました。もちろん日本国内でも2つのカンパニーが、この作品に挑戦し素晴らしい成果を上げてきました。それを踏まえた上で私たちのカンパニーは、私たちのカンパニーならではのコミュニケーションとクリエイティビティをもって新たにこの戯曲に取り組みたい。それができるメンバーが、今回集まったということを、今とても誇りに思っています。」
――藤田さんとしては、ハウイーやこの物語に出て来る登場人物たちについて、どんな人たちでどんなことが起きれば面白くなりそうだと思われているのでしょうか。
藤田「この作品にはおそらく「喪失と再生」とか「喪失と共生」とか、つまり家族を喪失した夫婦がどのように共に生きていくことができるのか、というようなキャッチコピーがつくのかもしれませんが。しかし、事件らしい事件は起きません。大変な出来事や死があった後の淡々とした日常が描かれています。もしくは日常こそ劇的であるという風に考えられるかもしれませんが、そこでハウイーとベッカ夫婦が会話を重ねながらどのようにこの先の自分たちの人生を見つけていくか。もしくは、“ラビット・ホール”がタイトルですから、他の穴のことを考えるわけです。今、自分たちが落ちてしまった穴ではない、別の穴にいるかもしれない自分、つまりあり得たかもしれないもうひとりの自分自身を探していくという物語でもある。それは、お客さんたちが普段使う言葉を突き詰めていけばいくほど、役を掘れば掘るほど、この座組で追求すれば追求するほど、テーマが普遍化され、社会化され、お客様の物語になっていく。だからこそこの作品はものすごく真っ当な会話劇であり、近代演劇なんだと僕は捉えております。それぞれの登場人物も、妻のベッカと、彼女と結婚したハウイー、この子供を失った夫婦とその家族、妹のイジーとお母さんのナット、そして加害者となったジェイソンという青年。この5人のキャラクターは、お客様の人生のどの瞬間にもいるような人間なんですね。人間として、喜怒哀楽を持って一生懸命生きている限り、誰しもの人生の中に登場する5人なのではないかと思います。そういう生々しい人生を描きながらも最後、ラストシーンは成河さん演じるハウイーの言葉で終わるのですが、この物語の続きはどうなっていくかは、はっきりした答えは提示されないんです。僕も台本に則って、最終シーンの成河さんの言葉に答えは出しません。けれども演劇讃歌として、お客様には問いかけたい。それは、この演劇をご覧いただいて上演時間のおよそ2時間を共に過ごしてきたもの同士として、楽しい気持ちで劇場を出ていただける問いかけでありたいな、と思っています。」

私、俊太郎くんが成河くんで『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』をやりたいと言っていたのは忘れていませんよ。笑