《僕はサグラダファミリアという建築物が大好きです。僕が出会った頃はまだ「永遠に完成しないかも」と言われていました。ガウディという天才が、現世では完成しえない天才的な設計図を描き、彼の後を継ぐ天才や労働者たちが目を輝かせて完成への道のりを紡いできました。僕は演劇とはまさにそういう類の芸術だと思っています。
この度、僕に演劇を教えてくれた蜷川幸雄さんの劇団にいた銀ゲンタくんからオファーを頂き、俳優養成所時代に使用していたテキストの原作者である高橋いさをさんとの共作を企画し、皆で一生懸命、演劇の井戸を掘ってみます。「昭和の大事件を風化させない」という大義と同じくらい、この「演劇実験」に意義があると思っております。全力で掘りますので、是非お立ち会いくださいませ》という田島亮くんの挨拶文(転載)
「田島さんは演劇に取り組む人間の営為を「サグラダ・ファミリア」になぞらえ、次世代から次世代へ伝えられていく文化として捉えているということだと思う。田島さんはまだ若いが、こういう視野の広さを持ちながら演劇作りに情熱を傾けているわけてある。氏は別の媒体では演劇文化をリレー競技に譬え、次世代から次世代へバトンを渡すことの重要性も説いていた。」
「戦争が終わって新しい時代かくる。これからはあなたたちの時代だ」
これはこの度、上演した「獄窓の雪―帝銀事件―」で、獄中の平沢貞通が目撃者の女子銀行員に言う台詞だが、わたしは田島さんにこの言葉を捧げたいと思う。
と高橋いさをさん。