観劇予報『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』森新太郎インタビュー(取材・文/榊原和子 写真/田中亜紀) http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/archives/51922367.html
──アメリカ社会の中にはアイルランド系の人が、かなり多くを占めていることでも活動しやすかったのでしょうね。
ケネディ家をはじめビル・クリントンなどもアイルランド系ですね。それに、マイケルもそうですが、警官や消防士とかの仕事にアイルランド系の人が多く就いていた。彼らの先祖はイギリスによって祖国を追われてきた移民で、初期にはそういう仕事しかなかった。それだけに祖国アイルランドへの愛とイギリスへの反感があるわけです。でも、彼らが生きているアメリカはイギリスと手を結んでいるという、そういう皮肉な状況を背景にこの物語を描いているのが、ビーンならではの視点の面白さだと思います。
──世界の対立軸が変わることで、彼らの闘争も揺れ動くのですね。
物語の最後は、あの9・11の当日になっているのですが、テロと呼ばれるような武装闘争を仕掛けていた人間たちが、今度はやられる側になってしまう。そして、やられる側になると「あいつら何を考えているかわからない」と言うんです。こちら側になるかあちら側になるか、それを分けているのは1つの線でしかないのですが、私たちの周りにはいつもたくさんのボーダーが引かれていて、それと同じ数の対立があるのだろうなと思わせられます。
東京公演はあと3回ですね。当日券あるようです。ぜひっ。
5/27付の日経新聞の劇評も。http://www.nikkei.com/article/DGXDZO71803370W4A520C1BE0P01/?dg=1