ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

『尺には尺を』劇評 

 朝日新聞夕刊に『尺には尺を』の劇評(山本健一さん)「蜷川の化身にも見えた小鳥」
「爛熟都市ウィーンの公爵(辻萬長)が、貴族アンジェロ(藤木直人)に統治を代理させ、修道士に変装して、お手並みを拝見する。超堅物の代理は古い法律を適用し、婚約者を妊娠させた若い貴族(松田慎也)に、姦淫の罪で死刑を宣告する。妹イザベラ(多部未華子)が何とか助けようと、奔走する。赦しから和解への大団円を迎える喜劇の定法をとってはいるが、人物の性格や物語が飛躍し、戸惑うところもある。」「美術は人間の七つの悪徳を描く巨大な宗教画だけ。その前で色欲や物欲、高慢な感情にとらわれた人間たちが右往左往する。演出は、聖なる枠組みの中で清冽なイザベラと猥雑で不条理な大人たちをシニカルに描くアイロニーの表現にあるのだろう。」「多部は純真で一本気な芸風。畳み込み、哀願するせりふのほとばしる力で、代理や兄に名ぜりふを浴びせる。藤木は後半、イザベラに情欲をそそられて口説く複雑な役。熱演だが、せりふに情熱のテンポをもっと加えたい。」「売春宿女将役の立石涼子や番頭役の石井愃一、道楽者役の大石継太が民衆の欲望を濃く表現するが、舞台全体の猥雑感がさらに欲しい。辻ががっしりとしたせりふと演技で、長老貴族役の原康義と共に舞台を支える。」「ただ、蜷川舞台に吹いていた現代の風が弱い。最後に青空と輝く白い雲を背景に小鳥が舞う。蜷川の化身に見えた。」

産経ニュースの『尺には尺を』の劇評(河野孝さん)「現代日本へ批判の一矢」
「ウィーンのヴィンセンショー公爵(辻萬長)は、領地の全権をアンジェロ(藤木直人)に委任し、出国する。実は修道士に身をやつし、権力が人をどう変えるのか観察するのが目的だ。公爵の寛容な政治姿勢が不満だったアンジェロは厳しく臨む。若い貴族、クローディオが恋人を婚前妊娠させる。法の厳格な運用を決めたアンジェロは死刑を宣告。クローディオの友人、ルーチオ(大石継太)は修道院にいるクローディオの妹、イザベラ(多部未華子)に知らせる。兄思いのイザベラはアンジェロに死刑取り消しの慈悲を求めるが、アンジェロはイザベラに恋をしてしまう。翻訳は松岡和子で、井上尊晶が演出補。」「楽屋のような雰囲気で始まる。大きな舞台装置はなく、キリスト教の「7つの大罪」を象徴したパネルを背景に、広い劇場空間をスピーディーに使いこなす。」「蜷川演出の現代作品に出た藤木と多部にとって、初のシェークスピア体験となったが、持ち味を素直に出して新鮮。変装する辻に盤石の重みがあり、最後に正体を見顕す面白さ。変わり者のルーチオの大石との丁々発止の掛け合いが喜劇色を濃厚に出してはじける。」